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【掲載】「納得の看取り」の影で—7年後に娘が語った、親子の目線の違い

 

皆さん、こんにちは。NPO法人こだまの集い 代表理事の室津です。

この度、介護メディア「ライフサポートナビ」に、私自身のダブルケア(在宅での父の看取りと育児)を振り返る記事を寄稿しました。

 

 

 

「納得の看取り」と、子どもの「暗黒の時代」と感じていたギャップ

 

 

父が末期がんを宣告されたとき、私たちは父の願いを尊重し、在宅での看取りを選びました。大人としては「悔いのない看取り」ができたと思っています。

しかし、父を見送って7年後、当時3歳だった頃の想いを娘に尋ねると、「正直、あの頃は10年生きてきた中で一番暗黒の時代だった」という意外な言葉が返ってきました。

大好きだった祖父が遊んでくれなくなり、忙しい両親といる時間も減り、「嫌われちゃったのかな」と寂しさや不安を抱えていたというのです。親としては気づけなかった、親と子の目線の違いでした。

 

 

 

 

 

7年越しに埋めた心の溝

 

 

幸い、娘は「金毘羅山の階段を一緒に登った思い出」を温かく覚えていてくれました。そして、今の私は、「遊んでくれなくなったのは、おじいちゃんの体力がなくなっただけ。嫌われたわけじゃないよ。ずっと大好きでいてくれたんだよ」と伝えることができました。

この親子の認識をすり合わせられたことは、私たちにとって大きな救いとなりました。

娘は、同じ経験をしている子たちに「嫌われたんじゃないよ。見守ってくれているよ」と伝えたいと言います。

 

 

 

難しい説明より「大好き」を

 

 

子どもにとって大切なのは、病気の難しい説明よりも、「大好きだよ」というシンプルな言葉。

看取りに正解はありません。
今回のケースは、あくまで我が家の1事例ですが、何かしらのご参考になれば幸いです。

もし今、同じ状況にある方がいたら、いつか「あのときどう思っていた?」と、お子さんに声をかけてあげてください。

 

 

その短い言葉で、心の中にあった不安や寂しさが解きほぐされ、最後に残る「愛情の確かさ」を感じていただける方がお一人でも増えますように。


どのご家庭のケアも、全てが正解。

どうかご自分を責めず、無理をせず、今を進んでいただけたらと思います。

 

 

 

 

 

編著書「子育てと介護のダブルケア〜事例からひもとく支援・連携の実際」 中央法規出版 2023年 役員4名・メンバー2名 企画・執筆 

 

2023年 『1000人の「そこが知りたい!」を集めました 育児や仕事と両立できる 共倒れしない介護』㈱オレンジページ 2024年:代表理事室津 監修

 

【共著】『できるケアマネジャーになるために知っておきたい75のこと』(メディカル・ケア・サービス) 2025年: 編著者 高瀬比佐子